事業の趣旨・目的等について

ⅰ)事業の趣旨・目的

 高等専修学校には認知度向上、さらなる多様な学びの保障、セーフティネット機能の充実という3つの課題がある。令和3年度の調査では、中学校教員の29%が高等専修学校を良く知っていると答え、13%が生徒・保護者に説明できると答えた。認知度向上には、中学校教員や適応指導教室等への的確な情報提供が必要となる。また、高校を中退した生徒への情報提供も重要である。

 次に、高等専修学校は職業教育を重視しており、職場見学やインターンシップの実施が必要である。令和4年度の調査では、86校中21校が「インターンシップへの取り組み」を今後進めたいと回答している。本事業では当学園グループが持つ産業界との連携を活かし、生徒の個性に寄り添った職場見学やインターンシップを推進する。

 さらに、高等専修学校には不登校や中退を経験した生徒のためのセーフティネット機能が求められる。少人数クラスや学習環境の配慮が行われているが、専門家の指導を受け、教員の対応力及び生徒へのアプローチ力向上が求められる。
 課題解決のために、行政機関、産業界、相談支援機関、教育機関が参画する検討委員会及び分科会を設立し、モデルカリキュラム開発、実証授業開催、広報・普及啓発に注力する。

ⅱ)学習ターゲット、目指すべき成果

【学習ターゲット】
●高等専修学校生徒(職場見学・インターンシップ)
●高等専修学校教員(教員向け研修)
【目指すべき成果】
①高等専修学校の認知度向上 ②職場見学・インターンシップ実施による多様な学びを保障 ③教員の対応力・アプローチ力向上

当該モデルが必要な背景について

■高等専修学校の課題

【課題1】認知度向上の必要性

 令和3年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(令和3年度文部科学省委託事業)に、「高等専修学校」について「良く知っている」と回答した中学校教員は29%、生徒・保護者に説明が「できる」と回答した中学校教員は13%にとどまった、と記載されており、高等専修学校の「社会的認知度」については十分とは言えない。

 自らの進路を決定する中学生やその保護者、進路選択をサポートする中学校教員が高等専修学校の特徴を知り、理解を深めてもらい、進路選択肢として認知してもらうことが重要である。

 認知度向上には進路選択をサポートする中学校教員や進路指導の教員、適応指導教室やフリースクール等の教員に的確な情報が届き、そこから中学生本人やその保護者に伝わっていかなければならない。また、高等学校を中退した生徒が高等専修学校へ入学するケースもあるため、高等学校教員への情報提供も必要である。

【課題2】さらなる多様な学びを保障

 高等専修学校は職業教育を重視している。そのため、普通科目に加え、専門科目の実習・実技の授業が多いことが最大の特徴である。 当校のデジタルクリエイションコースでも午前の授業は普通科目、午後の授業は興味のある分野をより深く学ぶスタイルで、制作展や企画などは異学年混成で活動を行っている。また、2015年にゲーム部を発足し、eスポーツにも積極的に取り組んでいる。

当校のカリキュラム

当校でさらに多様な学びを保障するために今後、注力したいことは「学び」と「職業」を結びつけることである。「学び」と「職業」を結びつけるためには職場見学やインターンシップが効果的である。職場見学やインターンシップを積極的に行っていくことは、高等専修学校に求められる職業教育機能強化にも繋がる。
なお、令和4年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(令和4年度文部科学省委託事業)によると、「現在は十分に取り組めていないが、今後取り組みを進めたいと考える内容を選択(複数回答可)」という問いに対して、回答数86校のうち21校(24.1%) が「インターンシップへの取り組み」と回答しており、全国的な調査でも同様の意見が見られる。
沖縄県内で6校19学科を有する専門学校を展開する当学園グループでは実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関として、多岐にわたる分野でスペシャリストを育成している。専門学校運営で培ったスペシャリスト育成のための産業界との連携ノウハウを高等専修学校でも活かし、職場見学・インターンシップを推進していく。

 当校でさらに多様な学びを保障するために今後、注力したいことは「学び」と「職業」を結びつけることである。「学び」と「職業」を結びつけるためには職場見学やインターンシップが効果的である。職場見学やインターンシップを積極的に行っていくことは、高等専修学校に求められる職業教育機能強化にも繋がる。

 なお、令和4年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(令和4年度文部科学省委託事業)によると、「現在は十分に取り組めていないが、今後取り組みを進めたいと考える内容を選択(複数回答可)」という問いに対して、回答数86校のうち21校(24.1%) が「インターンシップへの取り組み」と回答しており、全国的な調査でも同様の意見が見られる。

 沖縄県内で6校19学科を有する専門学校を展開する当学園グループでは実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関として、多岐にわたる分野でスペシャリストを育成している。専門学校運営で培ったスペシャリスト育成のための産業界との連携ノウハウを高等専修学校でも活かし、職場見学・インターンシップを推進していく。

【課題3】セーフティネットとしての機能を充実

 高等専修学校は、不登校や中退を経験した生徒のためのセーフティネットとして機能している。小・中学生時代に不登校を経験した生徒も学校生活をリスタートできるよう、さまざまな配慮を行っている。

 令和4年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(令和4年度文部科学省委託事業)によると、「現在取り組んでいる内容を選択(複数回答可)」という問いに対して、回答数86校のうち、54校(62.8%)が「生徒同士が一緒に学べる仕組みづくり」、続いて52校(60.5%)が「座席の配置や教室の掲示の工夫など、学習環境への配慮」、さらに、49校(57.0%)が「少人数クラスの編成」を行っていると回答している。少人数クラスで、生徒同士が一緒に学べる仕組みづくりや学習環境への配慮というクラス運営には多くの学校が取り組んでいるが、「個別指導の充実」や「SSW(スクールソーシャルワーカー)の配置」、「個別カウンセリングの充実」等、多様な個性ある生徒への個々のアプローチが今後取り組みたい内容として挙げられている。

 <令和4年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」より、「現在は十分に取り組めていないが、今後取り組みを進めたいと考える内容を選択(複数回答可)」という問いに対して、回答数86校のうち「個別カウンセリングの充実」19校(22.1%) 「SSWの配置」18校(20.9%)、 「個別指導の充実」17校(19.8%)と回答。>
 セーフティネットとしての機能をより充実させるために、既存教員の個別指導力やカウンセリング力の向上、また、SC(スクールカウンセラー)やSSW等専門家の参画を推進しなければならない。

モデル構築の必要性 

開発するモデルの概要

1.事業実施体制の構築

全体会と分科会の設立

 モデル検討委員会(=全体会)は行政機関、産業界、相談支援機関、教育機関の全ての委員が所属するが、高等専修学校が持つ3つの課題に対して、専門性を持つメンバーが解決策を議論し、能動的に効率よく解決への道筋を立てるために3つの分科会(小グループ)を立ち上げる。分科会ごとにスモールステップとなる目標を掲げ、その達成に向けて議論・検討し、活動していく。

分科会の目的と主な取組み事項

2.認知度向上のための広報周知活動強化

3.生徒の個性に寄り添った職場見学・インターンシップの実施体制を構築

 高等専修学校の生徒の個性に寄り添いながら、「学び」と「職業」を結びつける仕組みを考える。高等専修学校で好きなことや興味のあることを学び、それを職業にしたいと思う生徒もいれば、職業体験を通して生徒のやりたいことや適性が明確化することもある。また、そもそも職場見学やインターンシップに行くことに自信が持てない、気持ちが前向きにならない場合もあり、職業人講話やグループ内の専門学校での体験により少しずつ職業へと繋げていく。生徒の個性の数と「学び」と「職業」を結びつける方法があると言っても過言ではなく、教員が丁寧にカウンセリングしながら見出していく。教員のカウンセリング力、受入れ企業の開拓(専門分野及び様々な分野)、職業人講話の講師、専門学校との連携は必要不可欠な要素となる。

 事業推進にあたり、基本的なモデル類型を行いつつも、実証で得られた事例に基づき、現場で活用できるプログラムの構築を図る。

4.セーフティネット機能充実のための相談支援モデルを構築

専門家配置の現状

 文部科学省「学校保健統計調査」によると、高等学校のスクールカウンセラー(SC)の配置について、2012年度は配置していない学校が3割弱あったが、2022年度は9割以上配置し、うち4割は週4時間以上の定期配置を行っている。

 高等学校でのSCの配置は徐々に増えてきており、SCは生徒が抱える問題に学校ではカバーし難い多くの役割を担い、教育相談を円滑に進めるための潤滑油ないし、仲立ち的な役割を果たしている。
 一方、当校では、SCやSSWの配置は行っておらず、保健室設置及び養護教員配置もないというのが実情で、生徒が抱える問題の対応は学校内で教員が行っている。
 高等専修学校は、不登校や中退を経験した生徒のためのセーフティネットとして機能しており、当校にも過去に不登校や中退を経験した生徒が在席している。また、発達障害(ASD、ADHD、LD)の診断を受けている生徒、そのグレーゾーンの生徒も在席している。

外部からの専門家参画の役割

 SCやSSWの配置がなく、保健室や養護教諭がいない状況で、不登校や中退を経験した生徒や発達障害及びそのグレーゾーンの生徒と日々接し、相談助言を行っている高等専修学校の教員にとって、SCやSSW等専門家の参画により実現したいことは「教員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)」や「教員向け対応研修」、「生徒の心理的な見立てや対応方法の指導」等である。そして、教員自身の対応力がさらに向上し、生徒へのアプローチ力を強化することで、セーフティネット機能をさらに充実させていく。

構築する相談支援モデル

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