2019年度「専修学校リカレント教育総合推進プロジェクト」観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成プログラム開発

事業概要

事業の趣旨・目的

生産性向上に資するビッグデータに対応した
観光人材育成プログラム開発

事業の趣旨・目的

沖縄県が今年4月に発表した2018年度の入域観光客数は999万9千人で前年度と比べて4.4%(41万9100人)増え、6年連続で過去最高を更新した。沖縄県内入域観光客数は大幅に増加し、順調に推移しているものの、観光客の平均滞在日数や一人当たりの県内消費額は伸び悩み、急増する観光客受入れにおける新たな課題にさらなる取組みが必要となっている。沖縄観光の持続的発展のためには観光客数の増加のみならず、「観光の質向上」にさらなる注力が必要である。

「観光の質向上」と「観光業の生産性向上」を同時に実現するため、我々は 「生産性向上に資するビッグデータに対応した観光人材育成プログラム」の開発を提案する。プログラム開発により、観光業従事者が頼りがちであった経験や勘ではなく、ビッグデータを活用し、地域経済を活性化させる取組みを地域で企画、実行できるマーケティング人材へと成長し、沖縄県観光業の生産性向上、高付加価値化を実現する。

さらに、 「観光×ビッグデータ=観光の質向上と観光業の生産性向上」を『観光業の生産性向上おきなわモデル』として全国に普及する。

学習ターゲット、目指すべき人材像

学習ターゲット:観光業従事者(入職3年以上のリーダー候補生)
観光業従事者が頼りがちであった経験や勘ではなく、ビッグデータを活用し、地域経済を活性化させる取組みを地域で企画、実行できるマーケティング人材へと成長し、沖縄県観光業の生産性向上、高付加価値化を実現する。

当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

沖縄観光の現状と課題

沖縄県観光客の推移
沖縄県が今年4月に発表した2018年度の入域観光客数は999万9千人で前年度と比べて4.4%(41万9100人)増え、6年連続で過去最高を更新した。沖縄県では観光業がリーディング産業として、沖縄県経済のエンジン役となっている。

沖縄県観光業の課題
入域観光客数は大幅に増加し、順調に推移しているものの、観光客の平均滞在日数や一人当たりの県内消費額の伸び悩み、急増する観光客受入れにおける新たな課題にさらなる取組みが必要となっている。
沖縄観光の持続的発展のためには観光客数の増加のみならず、「観光の質向上」にさらなる注力が必要である。

均滞在日数と一人当たりの消費額の推移

「観光の質向上」と「観光業の生産性向上」の関係性
観光の質(安全・安心・快適な観光地であること、多様化するニーズにきめ細やかな対応ができること)が向上すれば、観光客の増加や長期滞在、経済効果の高い市場へのアプローチが可能となり、一人当たりの観光地での消費額が増加する。ただし、観光の質向上が観光業従事者の長時間労働や業務負担増に支えられて成り立つものであってはならない。観光業の生産性(年間通した観光客の平準化、滞在日数延伸、一人当たりの消費額、観光人材の育成・確保)を向上しながら同時に、観光の質も向上することが重要である。

プログラム開発の必要性

ビッグデータ活用の有用性
沖縄県は「世界水準の観光リゾート地形成」実現に向け、
①観光客の平準化、滞在日数の延伸、一人当たりの消費額の増大
②受入れ体制の強化、安全・安心・快適な観光地づくり
③観光人材の育成・確保
④多様化するニーズへのきめ細やかな対応
を掲げている。ビッグデータ活用により、今まで経験や勘で開発していた観光メニューや観光地づくり(長期滞在や経済効果の高い市場へのアプローチ、離島周遊促進等)が可能になったり、多様なニーズをビッグデータから読み取ることができる。

ビッグデータを活用できる観光人材の育成
「観光の質向上」と「観光業の生産性向上」を同時に実現するために我々は 「生産性向上に資するビッグデータに対応した観光人材育成プログラム」の開発を提案する。プログラム開発により、観光業従事者が頼りがちであった経験や勘ではなく、ビッグデータを活用し、地域経済を活性化させる取組みを地域で企画、実行できるマーケティング人材へと成長し、沖縄県観光業の生産性向上、高付加価値化を実現する。

観光人材育成・確保に向けて
ビッグデータを活用できる人材の育成と並行し、今後、増加が見込まれる外国人材への指導力を養成するプログラムを開発する。さらに、観光業に従事する者自身(=受講者)がモチベーションを保ちながら魅力ある職場にしていく力を身につけ、自ら人材育成と人材確保を促進し、人手不足解消や生産性向上に繋げられる総合リカレントプログラムを開発する。

プログラム開発3つの柱

プログラム開発後の展望

「観光×ビッグデータ=観光の質向上と観光業の生産性向上」を『観光業の生産性向上おきなわモデル』として全国に普及する。国土交通省は「観光産業を革新し、我が国の基幹産業にする」という目標を掲げている。開発プログラムを全国へ普及し、観光産業を生産性の高い産業へと変革・変貌させることで、我が国のさらなる成長と地方創生を実現する。

開発する教育カリキュラム・プログラムの概要

観光×ビッグデータ 中核リーダー育成プログラム

①ビッグデータを活用できる力(計54時間)

  1. 業界・企業を理解するマーケティングスキル(4.5時間)
    • ビッグデータとは・マーケティング概論
    • ビッグデータ利活用における課題・データマーケターの活用の背景
    • 観光業における戦略としてのデータ活用・環境の変化について
    • データから大事な数字を見つける視点
    • 個人情報保護法、匿名加工情報、データの利用権限について
  2. 基本的な統計・ビックデータの分析スキル(13.5時間)
    • 統計学の基礎
    • データの見える化・オープンデータを利用する方法
    • ウレコン、グラフの特徴について(各グラフの特徴理解)
    • マーケティングの基礎
    • データ分析の準備と流れ、比較、データからの提案
      • POSデータによる課題の提出
      • ID-POSデータによる顧客の分析
    • ID-POSデータと外部データを掛け合わせる
    • 課題発見と提案
  3. データ分析を見える化し、利活用できるビジネススキル(18時間)
    • R言語実習(観光構築・集計操作・グラフ作成)
    • エクセル実習(分析・関数・アドイン機能)
    • 統計データ利活用実習(各オープンデータの紹介)
    • 地域特性や観光行動を把握し、ニーズにあったデータの取り出し
    • データ分析実習(取り出したデータを利用し、分析・問題点の発見)
    • 分析結果を見える化(提案作成技法)・資料作成
    • 伝えるためのプレゼンテーションスキル・資料作成
    • 企画案発表会及び受講生同士でフィードバックし合い改善
  4. 実際のデータを使用した分析と観光メニュー実習(18時間)
    • 分析演習
    • メニュー企画演習

②外国人材への指導力(18時間)

  1. 外国人材への指導力(18時間)
    • 身だしなみ、基本動作、挨拶、接客用語、クレーム対応
    • インバウンドの現状と課題、日本文化理解、インバウンド客の対応
    • ホテルの基礎知識、接遇・マナー、おもてなしの心
    • ロールプレイング(笑顔、姿勢、挨拶、来客対応、クレーム対応等)
    • ロールプレイング(フロント、来客サービス、テーブルサービス等)

③受講者がモチベーションを保ちながら魅力ある職場にしていく力(6時間)

  1. 受講者がモチベーションを保ちながら魅力ある職場にしていく力(6時間)
    • ストレスマネジメント、セルフコントロール力
    • プレゼンテーション力
    • 受講者とその上司がペアで参加し、上司と部下が所属会社の発展、観光業の魅力を外部発信できるスキルを身につけるワークショップ
    • 観光業の魅力発信発表会