2019年度「専修学校リカレント教育総合推進プロジェクト」観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成プログラム開発

事業概要

事業の趣旨・目的

観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成の必要性

事業の趣旨・目的

沖縄県を訪れる外国人観光客は2018年度に300 万 800 人となり、11 年連続で過去最高を更新、初の 300 万人台となった。飛行機の増便や台湾・上海からのクルーズ船就航により、中国、台湾、韓国、香港からの観光客が爆発的に増加している。さらなる外国人観光客の獲得や滞在日数の延伸、一人当たりの平均消費額増大には、外国人観光客の満足度をさらに向上しなければならない。

「沖縄で急増する外国人観光客の満足度向上」と「沖縄観光業の生産性向上、高付加価値化、業務効率化」という2つの課題解決に向け、異分野能力である『デザイン力』を活用したリカレントプログラム「観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成プログラム」の開発を提案する。外国人観光客の国別嗜好デザイン、訴求力のある土産品開発・販売促進、文字ではなく写真やイラストで伝えるユニバーサルデザイン、視覚的にマナーを啓蒙できる力を備えたデザイン人材を育成し、外国人観光客の満足度向上と沖縄県観光業の生産性向上を同時に実現する。

さらに、開発プログラムの全国普及を目指し、「小さなインプットで大きなアウトプットを生み出す」という生産性革命の基礎を浸透させ、観光業を我が国の基幹産業へと発展させる。

学習ターゲット、目指すべき人材像

学習ターゲット:入職3年以上のデザイン業従事者
観光業の生産性向上に向け、異分野能力であるデザイン力を活用したリカレントプログラムを開発する。プログラムでは、外国人観光客の国別嗜好デザイン、訴求力のある土産品開発・販売促進、文字ではなく写真やイラストで伝えるユニバーサルデザイン、視覚的にマナーを啓蒙できる力を備えたデザイン人材を育成。

当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

沖縄インバウンド観光の現状と課題

沖縄県を訪れる外国人観光客の動向
2018年度、沖縄県を訪れる外国人観光客は対前年度比で 30万8,800 人、率にして11.5%増の300万800人となり、11年連続で過去最高を更新し、初の300万人台となった。

飛行機の増便や台湾・上海からのクルーズ船就航により、中国、台湾、韓国、香港からの観光客が爆発的に増加している。沖縄県は第5次沖縄県観光振興基本計画で、2021年度入域観光客数(外国)400万人、外国空路客1,000万人泊、一人当たり(国内客、外国客ともに)平均消費額93,000円(2018年度実績72,853円)を目標とし、滞在日数の延伸や一人当たりの平均消費額増大に注力している。


(出展:沖縄県入域観光客数)

沖縄県を訪れる外国人観光客の満足度
外国人観光客の満足度を項目別に見ると 「おもてなし」、「食事施設」、「宿泊施設」に対する満足度は比較的高いが、「外国語対応能力」が最も低く、「案内表記のわかりやすさ」、「WiFi」、「両替の利便性」、「土産品」項目の満足度が5割に達していない。

沖縄県は「外国語対応能力」向上のために「沖縄県地域通訳案内士育成等事業計画」を2018年に策定。沖縄県地域通訳案内士育成研修、有資格者に対するスキルアップ研修等を実施し、外国語対応能力の向上に努めている。
さらに外国人観光客の満足度を向上させるには「外国語対応の促進」、「案内表記のわかりやすさ」、「外国人観光客の心を掴む訴求力のある土産品の開発及び販売促進」を強化しなければならない。

観光業の人手不足
沖縄タイムスは今年4月、沖縄県内主要ホテルを対象に労働環境等に関するアンケートを実施した。(県内ホテル120施設を対象にFAXで実施。回答率32.5%)アンケートに回答した39社のうち、 84.6%の33社で人手が不足し、その多くで残業や休日出勤などによるスタッフの業務負担の増加、サービスの質の低下などを懸念している。
観光客数の増加を追い風に、沖縄経済を牽引する観光業だが、多くのホテルが人手不足にあえいでいる。沖縄観光業のさらなる発展には生産性向上(年間通した観光客の平準化、滞在日数延伸、一人当たりの消費額、観光人材の育成・確保)や高付加価値化、(安全・安心・快適な観光地であること、多様化するニーズにきめ細やかな対応ができること)業務効率化が重要である。

プログラム開発の必要性

2つの課題解決
我々は「沖縄で急増する外国人観光客の満足度向上」と「沖縄観光業の生産性向上、高付加価値化、業務効率化」という2つの課題解決に向け、異分野能力である『デザイン力』を活用したリカレントプログラム「観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成プログラム」の開発を提案する。

観光業を活性化するデザイン人材育成の必要性
2020年に開催されるオリンピックを契機に、今後も多くの外国人観光客が沖縄県に限らず日本全国を訪れると予想される。日本にとってビジネスチャンスだが、このチャンスにどうアプローチすればいいかわからない観光業従事者は多い。
観光業の活性化と生産性向上を同時に後押しできるデザイン人材の育成は今まさに必要不可欠である。そして、開発プログラムを全国普及することで我が国のさらなる成長を実現する。

開発する教育カリキュラム・プログラムの概要

観光業の生産性向上に資するデザイン人材育成プログラム

①外国人観光客の心を掴む訴求力のあるデザイン基礎(6時間×6日=36時間)

沖縄観光の
現状と課題
  • 沖縄観光を取り巻く環境
  • 沖縄観光の現状、課題
  • 観光とデザインの関係性
デザイン概論
  • プランニング、コピー、スラング、アイデア発想法
  • CI、コンセプトワーク
  • 色彩感覚、配色
  • マーケティングの基礎
  • グッズデザイン演習
  • トータルデザイン展開の企画提案
  • 伝わるためのプレゼンテーションスキル
外国人観光客向け
デザイン力養成
  • 国別(中国、台湾、韓国)嗜好デザイン・デザインにおける色のマナー
  • 外国人向け訴求力のあるグッズデザイン
  • マーケティング・販売促進
  • 外国人のためのユニバーサルデザイン
  • デザインワーク(演習)

②外国人観光客の心を掴む訴求力のあるデザイン実践(6時間×6日=36時間)

※各専攻に分かれ、デザイン実習

専攻デザイン実習
  • 【専攻1】国別志向デザイン
  • 【専攻2】訴求力のある商品開発
  • 【専攻3】案内表記、ユニバーサルデザイン
  • 【専攻4】マナー啓蒙
  • 【専攻5】自由テーマ

③制作作品発表(6時間×1日=6時間)

制作作品発表
  • 制作作品発表、作品講評